ニート
近頃「ニート」という言葉が蔓延していますね。
私は昔から「ニート」という言葉を知っていましたが、意味を知りませんでした。
直訳すると「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」
Not in Employment,Education or Training
の頭文字を取って「NEET」とのこと
私(黒子)はパンクロックが好きです。
私の勝手な3大パンクロックバンドといえば
・セックスピストルズ
・ザ・クラッシュ
・ダムド
となります。
私はこの3つの中では「ダムド」が一番好きです。
そこで、みなさん「ダムド(DAMNED)」というパンクバンドをご存知でしょうか?
パンクロックムーブメントを巻き起こしたバンドで、1970年代後半から今に至るまでその音楽は私達を魅了し続けます。
デイヴ・ヴァニアンとキャプテン・センシブルの融合
すなわち危険
そのファーストアルバムが「地獄に堕ちた野郎ども」です。
一曲目
「ニート ニート ニート」
デレレレ デレレレ デレレデンッ デデレ
デレレレ デレレレ デレレデンッ デデレ(パンッ パンッ)
ギャーーーー ・・・(ギャーーーー)←これで私(黒子)は、いつも必ず叫ぶというイントロです。
ベースのうねるような低音が、私の心を洗いますね。
そんなこんなで、私は「ニート」という言葉を知っているのですよ。
曲を聴くと「ニ!ニ!ニ!」(ににに)としか聴こえないのですが
私のタイトルは「黒子!黒子!黒子!」となっていますので
黒子=ニート(クロコ イコール ニート)という公式が成り立ちますね。
そこで私は突然「ニート」になってやりました。
「退職届」
(私こと一身上の都合により、平成18年1月31日をもって退職いたしたくこれを届けます)
平成18年1月29日 黒子
だから言っていたんですよ
「私は彷徨ふ」と
「一つの場所に留まれない」と
「地獄を指差している」と
誰も私を止めない、誰も私を信じない、誰も私に感心を持たない。
そんな荒くれた2月1日の朝・・・
職を失った私は名古屋を出て静岡へ向かおうと駅に向かって歩いている・・・
そこで私(黒子)は、一人の女神に出会った・・・
小雨の降る肌寒い午前11時00分
私は鼻水を垂らしながら
駅へと向かって歩いている
金が無いので電車ではなくバスにしようと
今度は「高島屋」に向かって歩いている
その途中で女神に出会った
希望だ
どんよりとした雲たちが「ニート」の私にせめてもの償いをしようというのか・・・
それとも未だ顔を出さない太陽が、危険を覚悟で雲たちの隙間を狙って私にささやかな幸せをもってきてくれたのか・・・
まるで、ゴールキーパーの隙をついてシュートを放つような優しさだ
女神は横断歩道を渡ろうとしている私に声をかけてくるのです。
「こんにちは」(笑顔)
などと・・・
女神は人間の姿をしているので一般人にはわからないようだ
しかし、私は貴女が女神だと知っている
通行人はその女神を人間だと信じている
しかし、私は貴女が女神だと知っている
通行人には、なにも見えちゃいない
すなわち愚民だ
女神のくったくのない笑顔がかわいらしい
気さくに声をかけてくる
しかし、こんなにドラマチックな場面なのに通行人達は見向きもしない
「なるほどね」私は溜息混じりに呟く
これが現在の社会を象徴している
無関心だ
誰も関心を持たない。持たせない。
私は社会の無関心さを呪いながら
自然の温かみに感謝した
女神は輝いている
女神の小柄な眼鏡っ子ぶりが私の慮辱心を煽ります
興奮させます
私は女神を好きになります
女神は私を好きになります
否!
私は好きになったのではなく好きになる運命だったのだ
私たちは愛し合う運命だったのだ・・・と
大きな流れが私たちを包むようで、私に「運命」を確信させます
女神は私に2つの贈り物を渡します
1つは「グルメ券が当たるカード」削れば当たるスクラッチタイプ
もう1つは「ポケットティッシュ」裏面には「ディック」と文字が書いてある
あぁ全能なる女神よ
私の心はすでにお見通しなのですね
お金が無く、寒空の中、ぼろぼろのティーシャツ一枚で歩いている私に
お金が無く、腹が減っている私に「グルメ券が当たるカード」とは
鼻水を垂らしている私に「ポケットティッシュ」とは
涙が出てきます
全てお見通しなのですね
私に必要な物の全てが解っているのですね
言葉は、いらない
わかっているから
そんなに言葉を使わなくていいんだよ
私は貴女が女神であることを知っているから
貴女が女神であることはわかっているから
私は貴女が女神だと信じているから
言葉で説明しなくてもいいんだよ
そんなに言葉を使わなくていいんだよ
そんなに言葉を使わなくていいんだよ
わかっているから
貴女が女神であることはわかっているから
私はそう感じている
私はすでに「言葉はいらない」と悟っている
私は嬉しさで絶句している
私は微笑んでいる
女神は一生懸命に話をしている
まるで「私は女神ですよ。信じられますか?」と下界の人間風情に説明をするように
こんなにすばらしい瞬間はこれが最初で最後だろう
そして、スクラッチを削った
当たった
「当たり!今すぐお店へ!入会すれば500円のグルメ券プレゼント」と書いてある
「うわあ!当たったぁ!当たったぁ!」
と
私は大声で叫んだのに
女神は少しも驚かない
当然だ
女神は全てわかっている
私の出生から最期まで解っている
ましてやスクラッチが当たりか否かぐらいの事はわかっている
「うわあ!当たったぁ!当たったぁ!」
今度は通行人たちに向けて私はもう一度、大声で叫んだ
通行人たちは未だ見向きもしない
あぁ・・・また社会は例の無関心か・・・
うんざりするぜ
どうでもいいや
私は女神と幸せになるんだ
私は野球チームを作るんだ
私は子供を9人作るんだ
そして、幸せな老後を過ごすんだ
私の葬式では子供達が泣きじゃくる姿を空から眺めるんだ
そして私は「私は生きていた」と初めて実感するんだ
1時間ぐらいたっただろうか・・・
私は女神と向き合いながら私は未だ無言のままだ
女神は未だ話し続けている
女神は「すぐ借りられますよ」などと言っている。
「貯金はありますか?」などと尋ねてくる。
「今までご利用になった事はありますか?」と尋ねてくる。
「みんな借りていますよ」と言ってくる。
・・・
まさかな・・・
サラリーマン金融の勧誘でティッシュ配りをしているバイトではなかろう・・・
いや・・・考えすぎだ黒子
女神は私の心を全て知っているのさ
ボロボロのティーシャツでいかにも貧乏そうな私の弱みに付け込んでキャッシングを勧めている訳ではなかろう
まさかな・・・考えすぎだ
女神がスクラッチカードの当たりを知っていたのは、全てのカードに「当たり」と書いてある事を知っていたからではなかろう
まさかな・・・
通行人たちが見向きもしなかったのは、カモにされている私を哀れんでいるからではなかろう
まさか・・・
彼女は女神のはずだ・・・
そんなこんなでバスに乗り遅れバスの添乗員には白い目で見られる。
大幅に約束の時間を過ぎてしまい「遅い!約束の時間じゃないら!」と罵倒され
悲しみに暮れる。私
さらに、つまらない言い訳の一つもできないばかりか嘘も言えない私
狼少年のレッテルを貼られた黒子の幸せは何処にあるのでしょうか?
あぁ今日もただ踊るのみ・・・
ふぅ やっぱりダムドでも聴きますか
デレレレ デレレレ デレレデンッ デデレ
デレレレ デレレレ デレレデンッ デデレ(パンッ パンッ)
ギャーーーー ・・・(女神さまーーーー)
黒子
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